アメリカの犯罪捜査に当たる法執行機関では暗号化されたiPhoneの保存データにアクセスするためのツールを備えており、現時点で2000を超える機関がアクセスできる手段を持っているとの調査結果が出ていると言われています。
使用しているのはGrayShift製のGrayKeyというツールで、購入費用は数百万円。
ツールが機能しない場合にはデバイスをCellebriteなどのサービスに送信してロックを解除できるそうで、このサービスを利用する場合の費用は1回につき約約20万円かかるとのことです。
ただ法執行機関で行われているということで、このような費用は基本的に税金によって賄われています。
このツールを使用している法執行機関では近年捜査にかかる時間や費用がネックになっていて、今後今まで以上にAppleやGoogle等の企業へ法執行機関だけが使用できるバックドアを作成するよう要求を強めていくと見られています。
そもそもロック解除問題について表面化したのは、2015年にアメリカのカリフォルニアで発生した死者14名、重軽傷者17名の犠牲者を出したサンバーナーディーノ銃乱射事件です。
死亡した容疑者が使用していたiPhoneを調べるため、ロック解除用のソフトウェア作成をFBIがAppleに要請。
しかしAppleはプライバシー保護の観点や脆弱性に繋がるとの理由で拒否し、裁判所命令をも拒否しました。
その後もFBIとのバトルが続くと見られていましたが、結果的にFBIは第三者の協力を得てロック解除に成功し、提訴は取り下げられています。
被害や被害者が出ている時点で、プライバシー保護が優先されるべきなのかは疑問ではありますが、これが良しとされれば私達の知り得ないところで様々な個人情報が見られてしまう可能性もあります。
現状では手間や時間を掛けてでもロック解除できるツールがあるのであれば、そちらで対処してもらうほうがコストはかかっても安全性は高いのかもしれませんね。